あいちの漬物産業
漬物王国あいち
愛知県は、「漬物王国あいち」と呼ばれるほど漬物産業が発達していることをご存じでしたか。
県内の豊富な野菜産地を背景として、江戸時代の末期から漬物業が発展し、一時期は全国一の出荷額を誇っていました。
現在でも、出荷額は全国第5位と全国でもトップクラスの位置にあり、消費者ニーズに応えた「安全」で「美味しい」漬物づくりを進めています。

愛知県の漬物産業の特徴
漬物産業の盛んな都道府県
愛知県で製造している主要な漬物 たくあん(沢庵漬)
守口漬
福神漬
山ごぼう味噌漬
はじかみ
浅漬
キムチ
きゅうり刻み醤油漬



愛知県の漬物産業の特徴
江戸時代末期頃からたくあん漬を中心に発展  愛知県は肥沃な土地と気候に恵まれていたことから、昔から野菜づくりが盛んに行われていました。
また、大きな消費地である名古屋を地域内に有していたことから、江戸時代の末期頃から漬物(たくあん漬)をなりわい(生業)とする業者が現れたのが、本県の漬物産業の興りとされています。
明治から昭和にかけて、本県の漬物産業はたくあん漬を中心に大いに発展し、「愛知のたくあん漬」は全国的に有名になりました。
加えて、たくあん漬以外でも本県では守口漬や奈良漬、福神漬、刻みしょうゆ漬など、さまざまな漬物づくりがすすめられるようになりました。
特に、近年では食生活の多様化に伴い、新たな技術開発により、浅漬を中心に様々な種類の漬物を開発し販売するようになったため、現在では「多種多様な漬物」づくりが本県の漬物産業の一つの特徴となっています。
「漬物王国あいち」といわれる理由  愛知県は、昭和60年までは漬物の製造出荷額は全国第1位の座を占めていました。平成20年現在では第5位となっていますが、近年では原料調達等の理由により県内企業が工場を県外に設置するなどの県外進出の事例も数も多く、これらの企業の県外での製造を含めた場合、現在でも全国トップクラスの実力を持っているといわれています。
こうしたことから、漬物業界では「漬物王国あいち」といわれれうようになりました。
高い技術力と多様な製品ぞろえ 本県では、かってはたくあん漬の製造が中心でしたが、近年の消費者ニーズの変化に対応して現在では浅漬が多く作られています。加えて、守口漬やきゅうり刻漬などの製造も盛んです。漬物の低塩分化や新製品開発等にも積極的に取り組んでおり、技術力とともに多様な製品揃えが愛知の漬物産業の大きな特徴です。
県の試験研究機関の継続的な支援 愛知県の試験研究機関の継続的な支援を受けてきたことも愛知の漬物産業発展の1つの要因に挙げられます。 
愛知県農業総合試験場では、漬物の原料となる瓜(かりもり)や大根などの品種改良を実施するとともに、県産業技術研究所食品工業技術センターからは、浅漬や漬物の低塩分化、発酵漬物の開発など、技術開発に対するいろいろな支援を受けていま
す。 






漬物産業の盛んな都道府県

経済産業省の工業統計によると、平成17年の漬物製造出荷額の全国第一位は梅干や紀ノ川漬で有名な和歌山県となっています。
2位以下は長野県、栃木県、群馬県と続き、愛知県は第5位となっています。


漬物生産上位府県の主要な漬物
 和 歌 山 県 梅干、たくあん漬
 栃 木 県 しょうが酢漬、らっきょう漬、たまり漬、たくあん漬
 群 馬 県 梅漬類、たくあん漬、福神漬、らっきょう漬、浅漬
 長 野 県 野沢菜、山ごぼう味噌漬、わさび漬
 埼 玉 県 たくあん漬、べったら漬、奈良漬、なす漬、醤油漬
 新 潟 県 たくあん漬、味噌漬、浅漬、醤油漬
 京 都 府 千枚漬、すぐき漬






愛知県で生産されている主要な漬物

愛知県はかってはたくあん漬を中心として漬物産業が発達してきましたが、消費者ニーズの多様化に合わせ、現在では、いろいろな漬物づくりが行われており、多様な漬物づくりが現在の愛知県の漬物産業の大きな特徴となっています。
ここでは、愛知県で作られている代表的な漬物について簡単に紹介をいたします。

 
漬物名 ワ ン ポ イ ン ト 解 説
たくあん
○江戸時代の末期頃から、大根の産地であった御器所村(現名古屋市昭和区御器所)でたくあんづくりが盛んになり、良質であったことから明治から大正時代にかけ、全国的に有名になりました。
○御器所村の大根栽培は、明治時代になると連作障害により次第に衰退し、代わって知多郡、碧海郡や尾張一宮に大根の産地が形成され、御器所たくあんの原料大根を供給するようになりました。

○このたくあんの原料大根の産地の移動に伴い、御器所以外の県内各地でも地元産の大根を使ったたくあんづくりがさかんに行われるようになりました。

○昭和の時代になると、大根栽培の適地であったことと併せ、冬の海岸からの季節風が大根の天日干しに最適であったため、渥美半島でのたくあんづくりが盛んになり、御器所たくあんに代わって渥美たくあんが全国的に有名となりました。

○昭和50年代頃からは他産地の台頭やたくあん需要の減少などにより渥美半島でのたくあんづくりは次第に減少し、現在では「渥美たくあん」は幻のブランドとなってしまいました。このため、関係者がそのブランドの再興に努めているところです。


御器所(ごきそ)たくあんと渥美たくあん
たくあん あれ・これ
守 口 漬
○守口漬は、愛知、岐阜で生産された守口大根を粕漬にしたもので、奈良漬の一種です。
守口漬は現在では名古屋の名産品として全国的に知られています。

○現在の守口漬の基礎を築いたのは、明治時代、中京繁盛の主と呼ばれた実業家の山田才吉といわれています。
明治15年に山田才吉が「守口大根を塩漬けにし脱水した後に、酒粕で何度も漬け換え、大根の繊維質を柔らかくした後に、味醂粕で味を調え仕上げる」という独特の漬け方を考案し、「守口大根味醂粕漬」として販売したところ大評判となりました。(この漬物は、その後単に「守口漬」と、略称で呼ばれるようになったそうです。)

○その後、岐阜や名古屋の漬物製造業者にもこの漬け方が伝わり、多くの守口漬製造業者が現れました。

○戦前までは守口漬は岐阜と名古屋それぞれが名産品として販売していましたが、昭和25年に愛知県で開催された第1回国民体育大会のおり、名古屋の業者が名古屋駅構内で「ういろう」、「きしめん」とともに「守口漬」を国体土産として販売したところ大評判となり、次第に全国に「名古屋名産守口漬」のイメージが定着していったようです


守口大根と守口漬
守口大根の母本選抜(採種)
福 神 漬
○福神漬は明治時代に東京・上野の乾物業者が考案したのが起源といわれています。
○名古屋でもたくあん漬の業者が、醤油樽に塩漬大根やなすの刻みを入れ、たまり醤油に酢と砂糖を加えた物に漬けたものを「あちゃら漬」、「刻み酢漬」という名称で販売していたそうですが、これがのちに名古屋の福神漬に発展したのではないかとの説があります。
山ごぼう
味噌漬
○山ごぼうはキク科アザミ属の植物で、正式な名前は「もりあざみ」といい、その他にも「きくごぼう」や「ごぼうあざみ」とも呼ばれています。
○愛知県では長野県との県境付近に自生しており、三河山間地域では古くから山菜として利用されていたようです。
○この山ごぼうを愛知県の豆味噌(赤味噌)でじっくりと漬け込んだ味噌漬は、風味豊かでカリカリとした歯ごたえがあり、愛知県の特産漬物のひとつになっています。
はじかみ
○はじかみとは、古くはしょうがや山椒(さんしょう)の呼び名でしたが、現在では酢漬けした芽ショウガのことを「はじかみ」と呼んでいます。
○愛知県愛西市で作られるはじかみは全国の流通量の5割以上を占めていると言われ、地域の特産品になっています。
浅  漬
○浅漬とは野菜類を短時間漬けたもので、一夜漬け、お新香(おしんこ)などとも呼ばれます。
○かっての漬物の主流はたくあんでしたが、最近ではサラダ感覚で食べられる浅漬が人気となり、漬物の主流となっています。
キ ム チ
○ご存じのとおりキムチは朝鮮半島が発祥の漬物ですが、現在では日本でもすっかり定着し、現在では漬物売り場の主要な漬物のひとつとなっています。
○キムチは、最近注目を浴びている植物性乳酸菌が豊富な乳酸発酵漬物です。
○キムチは平成13年にCODEX委員会において、国際規格が定められ、現在では国際食品として流通しています。
○日本一の愛知県産のキャベツを使ったキャベツキムチができました! 
きゅうり
刻み醤油漬
○塩蔵したきゅうりを輪切りにして塩抜きした後に、醤油及び調味料で味を調えた漬物で、調味漬の一種です。
○このきゅうり刻み醤油漬は、醤油の香りとともに、パリッとした快い歯ごたえがある、ご飯にとっても良く合う漬物です。